護身術で出会った人
WEN-DO(女性のための護身術)には、様々な人たちが参加してくれます。
護身術を経験してみたい、興味がある、面白そうと言って参加してくださる方たち。
暴力の被害経験があるという方も、かなりいらっしゃいます。
いじめに遭った
チカンに遭った
過去にDVを受けた
今、まさにDV家庭の中にいる
私たちを取り巻く世界には
人の心と体を傷つける「暴力」がこんなにもあるのかと
愕然とするときがあります。
セクハラを受けた知的に遅れのある女性がお母さんと一緒にワークショップに参加してくれました。
目をまっすぐに見つめてくるかわいい女性です。
知的に遅れがある人の特徴のひとつとして、人の話を素直に聞きすぎて利用されてしまうことが起こりやすいです。
また、受けた被害について、事実を的確に説明することが難しいこともあります。
そのために、加害者が悪質な行為を繰り返し、被害経験が長引いてしまい、精神的にも追い詰められてしまうこともあります。
今回の女性は、お母さんが全面的に味方になってくれて、カウンセリングを含め、さまざまなサポートを受けていました。
その中でも、「これから同じようなことが起きたら、自分で何とかできるように、その選択肢を増やしたい」
と、参加してくださいました。
障害特性から「大きい声が怖い」と言っていましたが
WEN-DOでは、「加害者をびっくりさせ、自分を力づけるため」にお腹から大きな声をだします。
声は出せないかもしれないな、、と思っていましたが
途中から表情が生き生きしてきて、ペア練習では、大きな声を出すようになりました。
お母さんとペアを組んでいましたが、お母さんが腕を痛めていたので
「スタッフと組んでみる?」と提案してみると
最初は遠慮しながらやっていましたが、途中からスタッフに安心感と信頼感を持ったようで、思い切り身体を動かして声が出せるようになりました。
障害があって、怖い思いをした経験があっても
新たに人を信頼して、そこから関係性を作る力が彼女にはあります。
それは、ここまで育ててきた親御さんの力が大きいと思います。
何があっても愛して大切にしてきたからこそ
彼女は心の弾力性が強いのだと思います。
「楽しかったです。」
「きて良かったです。」
とキラキラの笑顔を見せて帰っていく彼女の背中に
「何があっても一人じゃないよ。支えてくれる人はいっぱいいるからね。」
と、心の中で叫ぶ私でした。